もじもじ大作戦

映画やTVアニメの構成を分析したり、気づいたことを毎日書きます。

『第三の男』感想と分析

まのけいです。

今回は1949年製作のイギリス映画、『第三の男』を視聴したので、感想と分析をしたいと思います。

基本情報

監督: キャロル・リード 脚本: グレアム・グリーン 音楽: アントン・カラス 時間: 105分

感想

  • 言葉がわからないというカセが、不安を煽っていて良かった
  • 映像的に面白いシーンが多かった。建物の影から登場する人物、影だけ見える人物などなど。
  • 音楽が印象的。
  • 主人公やヒロインがなぜハリーが好きか、という事があまり描かれていないので、感情移入が難しかった。
  • ペイン軍曹が健気だった。
  • 少し中だるみを感じた。

分析

この物語の主人公は貧乏作家のホリーです。彼が親友ハリーの死について探る過程を列挙してみます。

ハリーの死を知る→警官のキャラハンからハリーが悪党だと聞かされ、無実を証明するために調べ始める→ハリーの友人であるクルツ男爵に話を聞く→葬式に出ていたアンナに話を聞きに行く→門番から事件場所に"第三の男”が居たという話を聞く→アンナが警察に連れて行かれる→ハリーの死に立ち会った博士を尋ねる→アンナと死体を運んだポペスコに話を聞く→翌日、門番が証言してれることになる→ホテルでアンナにハリーの昔話をする→門番が殺される→キャロライン氏の下に行こうとするとが、講演に連れて行かれる→帰り道に追われる→キャラハンの下に行きハリーの悪事を知る→アンナの下に行き、国に帰ると告げる→その帰り道、ハリーらしき人影を発見する→キャラハンに報告し、地下道への入口を発見する→ハリーの墓を暴き、中から別人の死体が出てくる→アンナがロシアに連れて行かれそうになる→クルツ男爵にハリーを出せと直談判する→観覧車でハリーに詰問し、アンナを救うよう頼むが失敗する→ハリーを捕まえる囮になる代わりにアンナを開放する約束をする→アンナを列車に迎えに行くが、ハリーと引き換えは嫌だとパスポートを破く→キャラハンと一緒にハリーの被害者を見に行き、ハリーが協力を決意する→ハリーを捕まえようとし、追い詰める→本当に死んだハリーの葬式→アンナはホリーを見ずに去っていく

こう並べて書いてみると、途中からホリーの行動がアンナを助けようとするものに変わっています。そして、最終的にハリーを捕ま えようと思っています。

主人公の葛藤について考えてみます。 最初の欲求は「友人の名誉を取り戻したい」です。そこからヒロインが登場し、主人公はヒロインを口説き始めるのですが、フラれます。さらにヒロインの想い人であるハリーが彼女を切り捨てたと知り怒ります。そして彼女を救うためハリーの逮捕に協力します。主人公の変化した欲求は「友人を陥れたい」です。

三幕構成に分けるとしたら、第一幕が状況設定が終わるのが警官と口論を終え、男爵にアポをとるシーン。ここまでで12分。第三幕をハリーをおびき出すシーン以降と考えると、第二幕の終わりは病院を出たシーンと考えられます。すると第二幕が76分、第三幕が15分になります。1:5:1ぐらいですね。PP1はキャラハンに煽られて必ず事件を暴くと叫ぶシーン、PP2は病院で崩れたクマを見るシーンになると思います。

おそらく主人公の状態が4つぐらいあって「ハリーの名誉を守りたい」→「ヒロインを落としたい」→「ヒロインのためにハリーを捕まえたい」→「患者のためにハリーを捕まえたい」があると思います。ヒロイン関連の欲求が間に入っているだけで、基本的にはハリーに対する感情の変化を描いている作品である、と分析できます。

まとめ

一文でまとめてみます。

貧乏作家のホリーが、友人ハリーの死の真相をハリーの恋人と共に追う過程で彼の本性を知り、ハリーを警察にわたそうとする話。

サスペンスものは感情の変化が難しいです。展開で見せていく作風だからでしょうか。この年代の映画は状況設定が終わるのがとても早いです。

次回

そろそろ白黒映画以外で書きたいです…。